こんにちは。神奈川県大和市で印刷、企画、デザインならおまかせのアドタックです。
『デザイン探訪 in 茅ヶ崎』
巨大おでん鍋のフタをテーブルに――。
店主が語ったエピソードの意外性に笑ってしまった。
その日わたしは、JR茅ヶ崎駅から徒歩15分ほどの
小さなカフェを訪れていた。
『 hachiya(ハチヤ)』という店名は、
ご主人がデザイナーとして活動していた事務所の名前に由来する。
鬱蒼と植物が茂った外観からは、
一見カフェとは気づかないかもしれない。
けれど店内は、ご主人とパートナーの審美眼によって
コツコツとつくりあげられた、独自の味わいある空間となっている。
外光が木漏れ日のように差し込む店内には、4組のテーブル席がある。
私がそれぞれ違うデザインだ、と漏らすと
「この丸いテーブルは、
もともと巨大おでん鍋のフタだったの」と店主。
「ちょうどいいと思って人から譲ってもらったの。
こっちのテーブルは床材を削って作ったわ。」
では、この椅子はアンティークか何か?
「これはね……メルカリ!」
話によると、4脚揃いの椅子を探して
遠方まで足を延ばしたけれど、理想の椅子が見つからず
頼ったのはインターネット上のフリーマーケット。
彼女曰く「目から血が出るほど」(!)
画面とにらめっこして手に入れた品だ。
食事メニューは、豆のゴロゴロとした触感が楽しい
トマトカレーや、チーズの焦げ目が食欲をそそるドリアなど、
どれもやさしい味わいで元気が出る。
ここで、お皿にも注目である。
使われているのは、店主のパートナーが手掛けた陶芸の器だ。
ざらざらとした手触りと、しっかりとした重みが手に心地良い。
店内のそこかしこにディスプレイされた、
植物の鉢と、モノトーンの幾何学模様の版画も印象的だ。
むき出し天井の鉄骨からはインダストリアル感が漂い、
木材や陶芸、植物との対比がおもしろい。
ご主人に、最初にコンセプトを決めていたのかと尋ねると
「いいえ。店内を見渡して
ああ、ここは少しこうしたい、
あっちはこう変えたい、
と思ったところを少しずつ変えてくの。
飽きちゃうでしょ。ずっと同じだと」
変化させていくインテリア。
そういうものづくりもあるのかと、はっとした。
店舗のデザインは、一度決めたらリニューアルでも無い限り
変わらないものだと思っていた。
店主が目を配り丁寧に手を加えている空間には、
流行や集客といった、せわしなさは全くない。
ひっそりとした隠れ家のような、安心感と開放感が味わえる。
お近くにお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
**cafe hachiya(ハチヤ)**
神奈川県茅ヶ崎市若松町5-30
月・火はお休み
水・木・金 13:00〜18:30/土・日 13:00〜21:00